ヘアサロン難民

アメリカで35年以上生活しているが、ヘアサロンに関しては本当に昔から苦労した。

まず、アメリカで日本人の髪質を分かってくれる人が中々居ない。住む都市にもよるが日本人の美容師を見つけても『相性が合う』とは限らない。しかも、日本語が通じると言うだけで、他の美容院より高かったと記憶がある。案の定、日本人の美容師に上手く会えずに、数年ロングでほったらかし。たまに自分で前髪を切り、髪の毛は市販の物を買ってきて自分で無理やり染めていた。

人種のるつぼのアメリカでは、自分の髪の質に合わせて美容院を選ばないとならない。例えば、黒人の人達は『専門』のヘアサロンに行く。そこでは他の人種の人達に会う事は無い。アメリカ映画の『Barbar Shop』『 Beauty Shop』などを見ると一目瞭然。人種によるヘアカルチャーが分かる。

私はサンフランシスコに他州から戻って来た当時、美容師を探すのに難儀した。ゲイなら分かってくれると思い、数回カストロ地区のヘアサロンに通った。 結果は当時のコスモポリタンの雑誌の表紙の様にされて、『ちょっと違うぜ』と感じていた。

フランシス子

Tシャツにジーパンで行ってるのに、髪の毛だけこんなゴージャスで帰宅 (苦笑)

今ではインターネットがあるから、店のレビューを見れて探しやすいが25年前までは、本当に口コミしか頼れるものは無かった。何度も何度も失敗し、色々な知り合いにヘアサロン情報を抜き出し、片っ端から試した。

15年前位にやっと、ペルーの女の子と美容師をシェアする様になり落ち着いた。が、この白人男性は多分ADHDだったので、髪の毛を染めている、切っている間の2時間ずっと喋り続けているので『苦痛でしかない』。2年位我慢した所で、彼は離婚して東海岸へ引っ越して行った。その際に、紹介してもらった次の美容師がメキシコ人のカルロスだった。メキシコ人と言っても、ミッション地区のうるさいメキシコ女性達を相手にしているのではなく、白人が殆どのマリーナ地区のヘアサロンで働いていた。

フランシス子

ちなみにラテン系の店に行くと、女同士の雑談が滅茶苦茶うるさくて苦痛

少し値段は張るが40近くなると、少し髪の毛に払うお金に余裕が出てくる。かと言って、もうこれ以上時間とお金と精神的な苦痛には耐えられないので、カルロスの所に行ってみる事にした。

フランシス子

ホンマにアメリカで美容師探すのって、彼氏を探す位大変やわ

そんなこんなで、さすがメキシコ人と髪質が近いだけあって『良い仕事してくれる』。3年前までずっと、カルロス一筋だった私(ちなみに彼はゲイです)。そんなカルロスも、エアビ業に手を出し始め、忙し過ぎてか、段々と美容師としてのパッションが消えていった。パッションだけなら良いのだが、カルロスは突然消えた。予約の日に行ってもサロンには彼の姿は無い。他の従業員に聞いても分からない。色々なお客さんが立ち寄って、カルロスに連絡が取れないと一大事に。

結局、彼は無事だったんだが、美容師とエアビ業の両方で、メンタルと体力がつぶれたらしい。

フランシス子

そうなる前に『ごめん、もう無理』の一言が欲しかった。

私はと言えば、カルロスの同業で顔見知りがサロンに居たので、頼み込んだ。私は現金払いのチップ20%以上払う人なので、彼は手一杯の中無理やり引き受けてくれたので、とりあえず今のところはオッケー。

フランシス子

アメリカでは現金とチップが、『ものを言う』のでチップはちゃんと払った方が良い